「本日をもって貴殿との婚約を破棄し、ここにいるルルアを新しい私の婚約者とする」
厳かな学院の卒業式でそれはおこなわれた。
自身の兄の婚約破棄の現場を、エヴァンは壇上の下からじっと見ている。
今まさに婚約破棄を言い渡されたリディ・ヴェルジール公爵令嬢はエヴァンにとって幼馴染であり、そしてある企みを共にしている仲だった。
(兄上……)
予定通りとは言え、自身の兄を断罪しなければならないことにエヴァンは心が痛む。
胸元のシャツをぎゅっと握り締めて唇を噛みしめていた時、凛とした彼女の声が講堂に響き渡った。
「ミカエラ殿下、わたくしリディ・ヴェルジールはあなた様からの婚約破棄のお申し出を受けさせていただきます」
驚いたように顔をあげて動揺したミカエラに真っすぐで強い瞳を向けるリディに、エヴァンは心を打たれた。
(やっぱりさすがだな、あいつは)
幼馴染でもあり、そして初恋の相手でもある彼女の勇姿を見つめる。
厳かな学院の卒業式でそれはおこなわれた。
自身の兄の婚約破棄の現場を、エヴァンは壇上の下からじっと見ている。
今まさに婚約破棄を言い渡されたリディ・ヴェルジール公爵令嬢はエヴァンにとって幼馴染であり、そしてある企みを共にしている仲だった。
(兄上……)
予定通りとは言え、自身の兄を断罪しなければならないことにエヴァンは心が痛む。
胸元のシャツをぎゅっと握り締めて唇を噛みしめていた時、凛とした彼女の声が講堂に響き渡った。
「ミカエラ殿下、わたくしリディ・ヴェルジールはあなた様からの婚約破棄のお申し出を受けさせていただきます」
驚いたように顔をあげて動揺したミカエラに真っすぐで強い瞳を向けるリディに、エヴァンは心を打たれた。
(やっぱりさすがだな、あいつは)
幼馴染でもあり、そして初恋の相手でもある彼女の勇姿を見つめる。



