「君も気づいていたし、兄上にそっと言ってくれていたのだろう?」
「……ええ。でも、わたくしの言葉はもう届かなかったわ」
「リディ、国王と王妃、そして兄上の不正を糺して王族の身分を奪う『一級公爵書』はすでに俺の手元にある。その中には、『神位制度』の撤廃もある」
「『神位制度』の、撤廃も?」
「ああ、君がずっと望んでいたことだ。これで君の願う、正しきウィンダルスに近づく」
リディは学院に入って目の当たりにした、『鮫』の加護を持つ学生へのいじめを憂いていた。
(過去の人間の過ちを、今の人間に負わせることはあってはならない)
比較的高い爵位の人間には表立っていじめはなかったが、男爵など身分が下の者へのいじめは激しかった。
そうした『鮫』の加護を持つ者へのいじめや差別は貴族だけではない。
特に貧しい者へのそれは、時に命の危険まである。
(世の中を変えたい……わたくしにできることは何?)
リディは何度もミカエラに身分制度の撤廃を求めたが、全て撥ねつけられた。
挙句の果てには「お前は身分の低いあいつらの誰か、好きなやつでもできたのか?」とまで言われた。
「……ええ。でも、わたくしの言葉はもう届かなかったわ」
「リディ、国王と王妃、そして兄上の不正を糺して王族の身分を奪う『一級公爵書』はすでに俺の手元にある。その中には、『神位制度』の撤廃もある」
「『神位制度』の、撤廃も?」
「ああ、君がずっと望んでいたことだ。これで君の願う、正しきウィンダルスに近づく」
リディは学院に入って目の当たりにした、『鮫』の加護を持つ学生へのいじめを憂いていた。
(過去の人間の過ちを、今の人間に負わせることはあってはならない)
比較的高い爵位の人間には表立っていじめはなかったが、男爵など身分が下の者へのいじめは激しかった。
そうした『鮫』の加護を持つ者へのいじめや差別は貴族だけではない。
特に貧しい者へのそれは、時に命の危険まである。
(世の中を変えたい……わたくしにできることは何?)
リディは何度もミカエラに身分制度の撤廃を求めたが、全て撥ねつけられた。
挙句の果てには「お前は身分の低いあいつらの誰か、好きなやつでもできたのか?」とまで言われた。



