「ところでさ、人事部って担当社員2人しか居ないの?」
チキンのトマト煮込みを頬張り、それをワインで流し込んだあと未来は言った。
「うん、舟田さんとわたしだけ。本当はもう一人哀川さんって人が居るんだけど、産休に入って、今はそのまま育休中。」
「でも、それなら普通は代わりの人員を補充したりするよな?人事は3〜4人は居ないとキツくないか?」
「うん、、、正直キツいよ。舟田さんは仕事しないし、現状、わたし一人で業務こなしてるようなものだから。嶋村課長に人員補充もお願いしたことあるけど、聞き入れてもらえなかった。」
わたしがそう言うと、未来は「今日着任したばかりだったけど、今日一日だけで酷い現状だなって思ったよ。」と言った。
「舟田さんは口が上手い人だから、嶋村課長には担当社員二人だけで大丈夫ですって言ってるの。そのくせ、自分は会計の笹田さんとお喋りばっかりして、仕事は全部わたしに丸投げ。まぁ、もう慣れたけどね。」
わたしはそう言うと、ワインを口に含んだ。
「でも、、、このままは良くない。葉月が働き過ぎで身体壊しちゃうよ。俺が何とか良い方向に変えていければいいんだけどなぁ、、、。」
「ありがとう。でも、、、なかなか難しいかも。あの支店の人たちは、みんな同じような考えの人たちばかりだから。面倒くさいから、何も変えようとしない。」
諦めているわたしの言葉を聞き、未来は「葉月?」とわたしを呼んだ。
「俺は、、、葉月の味方だから。だから、何かあったら何でも言えよ?俺で出来ることなら、何でもやるから。」
未来は力強くそう言った。
やっぱり未来は優しい。
わたしは「ありがとう。」と言うと、溢れ出してきそうな涙を堪え、微笑んで見せた。



