あきれるくらいそばにいて


わたしがワインボトルを未来のところまで持って行くと、未来はワインボトルを手に取り、「懐かしい〜!」と言った。

「やっぱりそのワインが一番飲みやすくてさ。他のは渋くて、やっぱりこれが一番。」
「よく二人で飲んだよなぁ。偽バ◯ラのグラスで。」

そう話しながら、わたしたちは笑った。

当時、憧れだったバ◯ラグラスだが、学生のわたしたちが手を出せるような金額ではない。

そこでわたしたちは、バ◯ラに似た偽バ◯ラグラスを探し出し、それを購入してワイングラスでもないのに、ワイングラスとして使っていたのだ。

「偽バ◯ラグラスもあるよ?」

そう言ってわたしがグラスを二つ出して来ると、未来は嬉しそうに微笑み、「飲も飲も!」と言った。

そして、わたしは未来と向かい合うように椅子に座ると、未来が偽のバ◯ラグラスに注いでくれたワインを持ち、わたしたちはそっと乾杯をした。

久しぶりに二人で飲むワイン。

いつもは一人だけど、二人で飲むと何だが味わいが違う気がした。

「美味しい。」
「うん、美味しい。久しぶりに飲んだけど、やっぱりこれだな。」

そして、ワインのあとはわたしが作ったチキンのトマト煮込みを食べる。

未来はあの頃のように「美味しい。」と本当に美味しそうにわたしが作った料理を食べてくれた。