そこからまぁそこそこのあれこれがあったものの一応平和な日常は送れている。一度ヒロイン(仮)の取り巻き連中が「彼女を虐めるな!」と息巻いてきたけれどどれも正論で追い返してやった。
どうやらヒロイン(仮)とその取り巻きたちに思うところがある常識人は思っていた以上にいたらしく、わたしとの舌戦で敗北した一行を見送ったあと結構な人達から拍手を頂いた。取り巻き達のインパクトが強いから勘違いしがちだけど、学園からしたら彼等って少数派なのよねぇ。
そして迎えた月末。振り返ってみると案外短い期間だった気がする。楽しいことは時間が過ぎるのがはやいというのは本当だったわ。
学年関係なく生徒が一同に集まって行う茶会は半月程前に急遽開催が知らされた。学園主催だったり生徒会主催だったりせずに完全に殿下の私的なものだったので「あぁ、なるほど」と思いつつ参加をしてみれば案の定である。
「クレイン侯爵令嬢!!今日こそ貴様の悪行を日のもとに晒してみせる!!!」
正義を振り翳しながらビシッと指をさしてくるのはヒロイン(仮)取り巻き隊の公爵令息その1である。その後ろにはうるうると涙を浮かべた儚げなヒロイン(仮)とそれに寄り添う殿下がいる。その他にも取り巻き連中がいるけれど多いので以下略。
それにしても水気を含んだ瞳に上目遣い、指先だけでそっと袖を引く様子など典型的なあざとさだわ、などと感心しながらチラリと殿下を見る。変わらない笑顔が怖い。
「聞いているのか!?」
「あぁ、はい。わたしの悪行が何でしたかしら?」


