あれは初めて王城に登城し、殿下に出会った日。
それなりに物分かりが良く分別も着いたわたしは恐らく他と比べれば精神的な成長は早かった方なのだと思う。それでもまだ子どもだったからか詳しい説明は受けないまま両親に連れられて王城に足を踏み入れた。
まぁ、大人びている方だとは言えまだ子ども、好奇心はそこそこあるがぐっと耐えて…いられたかはともかく周りをキョロキョロ見回すぐらいには抑えられていたと思う。
そうして連れてこられた中庭で初めて見た王子様はわたしと同じように親に連れてこられたであろう同年代の子供たちに囲まれていた。それはもう、俗物的な言い方だとモテにモテまくっていた。カラフルなドレスで着飾った子達に埋もれていると言っても過言ではなかっただろう。
子どもながらに、いや子どもだからこそ身分云々をあまり気にせずに「王子様だ!」と積極的に関わりあいにいったのだろう結果がこれって……とちょっと引いてしまった。
最初がそれだったからわたしとしてはあの中に行くのは嫌だなぁという気持ちで両親に着いて回ったり、離れてお菓子を摘んだり。果てはお付きの侍女を連れて中庭に咲いている花を見に行ったりと自由に過ごしていた。
薔薇の花はいろいろな種類があるし、特に花びらがみっちり詰まっていて、ころんとした丸い形をしているものは見ていて可愛らしくて夢中になって見ていた。


