「むーくーちゃん!」

「……ゆう兄」

「帰ろ」

「…ひとりで帰る」

「えー?」



ゆう兄が来る前にと

帰りのホームルームが終わるなり
早々と教室を出たのに

廊下に出てすぐ

ゆう兄に捕まってしまう私



「一緒に帰ろうよ」

「やだ」

「どうせ帰る方向一緒だし」

「やだ」

「むくちゃんのお気に入りの店
今日、新作発売日だよ
一緒に行ってみない?」

「…」



その言葉に、ぴたりと足を止めた私

ゆう兄はにっこりと笑顔を浮かべて言った



「好きなの、買ってあげる」

「…」