きみの本気は分かりづらい

「むくちゃんが甘やかしてくれるなら
しばらく、このままでもいいかも」

「…」

「……ごめんなさい。早く治します」



不謹慎な言葉を口にするゆう兄に
私は、静かに怒りの眼差しを向ける

頬を膨らませ
無言で不満を示す私にゆう兄はたじろぐ

私の機嫌を損ねた事に
焦ったゆう兄は慌てて、前言撤回した





――……





「…」



ぼんやりと視界が開く



……しまった。寝ちゃった



ゆう兄の腕の中で目覚めた私は
むくりと起き上がり

隣で、未だに静かに眠っているゆう兄に
ぼんやりと視線を落とす



あの後、すぐに眠りに落ちたゆう兄

しばらく、じっと
その寝顔を見つめていた私だったけど

穏やかに眠るゆう兄につられて
気付いたら、いつのまにか
自分も眠ってしまっていた



……熱、下がったかな



そっと、その頬に触れて体温を確認する

眠る前よりは
大分下がったように感じる


そのまま、はがれかけた冷却シートを
新しいものに変えて


私はまた、ゆう兄の顔を眺める