「……これ」

「ん?俺に?」

「………大変そうだから、差し入れ
ゆう兄に渡したくて…」



持っていた袋を差し出せば
(ちなみに、中身はゆう兄の好きなお菓子)

ゆう兄は、目を瞬かせた後
ふわりと表情を緩ませた



「ありがと。嬉しい」

「うん」



受け取って、とても嬉しそうに笑うゆう兄

宝物を抱き締めるかのような、その姿に
すっかり上機嫌な私も笑顔を返す



「ごめん。そろそろ戻らなきゃ
むくちゃん、また連絡するね」

「頑張ってね」

「うん」



遠くから、こちらを窺う
クラスメイトの視線に気づいたゆう兄は
そう言って、きびすを返す


頷いて、手を振りながら
去っていくゆう兄を見送る



「♪」



ゆう兄の姿が見えなくなってから
私は鼻歌を歌いながら、自分の教室へ戻った