「むくちゃん
さっき俺のクラスに来てたでしょ?
何か用あった?」

「……気付いてたの?」

「そりゃあね」

「それで、わざわざ追いかけて来てくれたの?」

「だって、ずっと会いたかったし
ちょっとでも、声聞きたくて」

「…」



ゆう兄は何てことのないように話すけど
その言葉は、不安で揺らいでいた今の私には
効きすぎた



………嬉しい



素直にそう思う



あれだけ、人に囲まれていたのに
それを押し退けて、私の所へ来てくれたことが

こうして笑顔を向けてくれることが

同じように、会いたいと思っていてくれたことが



全部、嬉しい



胸の中に広がる喜びに
あれだけ、もやもやしていた気持ちも吹き飛ぶ