初めから、ゆう兄に心を開いていたわけじゃない


もともと
警戒心が強くて、極度の人見知りだった私

家族以外とのコミュニケーションが下手くそで
中々、他人と心を通わせる事が出来なかった


それは
出会った当初のゆう兄も、例外ではなかった



……ただ、違ったのは



根気よく話しかけても

笑顔を向けても

遊びに誘っても


依然として、警戒を解こうとせず

打ち解けようとしない私に


大抵の相手が
痺れを切らして去っていく中




『むくちゃん、あそぼ』

『…』



ゆう兄だけは、私の傍から離れなかった事


毎日毎日、私の家にやってきて


無愛想でも、声を返せなくても
気にせず、話しかけてきて


絵本を読んだり、絵を描いたり、工作したり


私がそれに参加しなくても

一人遊びをしているような状況でも


のんびり、気ままに
楽しそうに過ごしていた


無理に距離を詰めてくるわけじゃなくて
ただ、近くで、一緒の空間で過ごす