――……




ゆう兄と出会った頃の夢を見た



お父さんの仕事の都合で
引っ越してきた街

そこで
お母さんが一番最初に仲良くなった近所の家の人

ゆう兄は、その息子だった




『はじめまして。あいかわゆうです』

『…』



親睦会を開いてくれたゆう兄のご両親
そこで、私は初めてゆう兄と顔を合わせた


今と変わらず
社交力が高かった幼いゆう兄は

物怖じせずに、自分から私に近付き
笑顔で、はつらつと声をかけてくれた


かくいう、幼い私は
お母さんの後ろに貼り付いて
警戒心と人見知りマックス状態



『ごめんね。悠君
むくは怖がりなの』

『ううん。だいじょうぶだよ』

『ありがとう
慣れるまで時間がかかるかもしれないけど
仲良くしてあげてね』

『うん』

『…』



困り顔のお母さんの言葉に
ゆう兄は屈託なく笑って頷いた


私は、その顔を
お母さんの影に隠れたまま
ずっと無言で見つめていた