ひとひきり会話を終えた津嶋君と杏里は
また、私に顔を向けて



「まぁ、何があったのかは分からないけど
悠先輩の気持ちが
本気なのは伝わったんでしょ?」

「…」



杏里の問いかけに、小さく頷けば
杏里と津嶋君は穏やかに笑う



「後は、篠原から
距離を縮めていけばいいと思うぞ」

「好きだって伝えてないなら、伝えればいいし
心の準備がまだなら、少し時間置けばいいよ」

「だな。心の整理もあるだろうし
ゆっくり、相川先輩と向き合えばいい」

「悠先輩、なんだかんだで
結局、むくに甘いから
ちゃんと待っててくれるよ」



自分の気持ちや、今後の行動

ゆう兄への態度や、関わり方…


動揺と戸惑いばかりが先行して
未だに、定まらない指針

そんな私の内心を見透かして
ふたりは、そんな風にアドバイスをくれた



「……うん。ありがとう」



こうやって
優しく見守ってくれる相手がいることに
心強さと安堵を感じながら


ふたりに向かって、小さくお礼を言えば


津嶋君と杏里は、優しい顔のまま
笑顔を返してくれた