「……な、なんで、津嶋君まで…」



津嶋君にまで
好きの矢印がバレバレだったことに
動揺を隠せない

うろたえる私に

杏里に頭を撫でられていた
津嶋君は冷静な顔で口を開く



「そりゃあ、ずっと篠原見てればな」


「相川先輩も篠原も
お互い意識し合ってるのに
気付かないの、不思議だったんだよな」

「だよね?
想い合ってるのに
どこか、すれ違ってる感じだったよね?」

「まぁ、相川先輩は
篠原に愛を与えることしか考えてないのかもな
自分が篠原に愛されるなんて
想像もしてないのかも
あの人、意外と自分に無頓着だし」

「あー…、少し分かるかも
愛は与えるし、手放すつもりもないけど
むくに、同じ熱量を求める気はないって感じある」

「そうそう
篠原が傍にいればそれでいいみたいな」

「どことなく偏った、難しい愛だね」

「そうだな。あの人は、めんど…じゃなくて
複雑な人だよ」



…。


……ふたりとも
気が合うタイプで仲良いのは知っていたけど…


ゆう兄と私に対する、解析度が高く
解釈も似ている様子の津嶋君と杏里


会話を弾ませるふたりに
置いてけぼりを食らう私