「おはよ、むく」

「はよ、篠原」


「杏里、津嶋君…」



教室へ入れば
窓際で楽しげに会話していた2人が
私に気付いて、声をかけてくれた



「「…」」



途方にくれたような声を出す私に
2人は顔を見合わせる



「…おはよう
あの、津嶋君、昨日はごめんね…」



あの後

津嶋君から折り返しの着信と
メッセージが入っていたけど

返事をする余裕なんて全然なくて
そのまま、放置してしまっていた



「いや、大丈夫
それより、相川先輩と何かあった?」

「…なんで、ゆう兄?」

「篠原にそんな顔させられるの
相川先輩くらいだろ」

「むく、ほっぺたリンゴになってるよ」



津嶋君の言葉に
杏里も頷いて、自分の頬に指を当てる


指摘されて
恥ずかしさから、さらに赤くなる私


黙り込んだまま
そのまま立ち尽くす私に

杏里と津嶋君は真顔で
また、お互いに顔を向ける



「これは、進展あったな」

「だね。ようやく
悠先輩の本気が伝わったっぽいね」

「俺の告白が追い風になったか」

「津嶋君、フラれちゃったの?
かわいそうに」

「そーなんだよ
慰めてくれる?今野(こんの)」

「しかないなぁ、特別ね」



赤面する私を横目に
ふたりはどこか面白そうに
冗談混じりの会話を始める