「意識はしてもらいたかったけど
警戒されたくなかったから」



言いながら、ゆう兄は
まだ、熱の引かない私の顔に手を伸ばす

とっさに、後ずさる私

それを見て、ゆう兄は苦笑を浮かべた



「ほら、ね?
あんまり攻めると、むくちゃん
そうやって警戒するでしょ?」



伸ばしていた手を引っ込めて
ゆう兄は軽くため息をついて
肩を竦めた後、微笑んだ



「まぁ、でも…
そうやって、ちゃんと『男』として
意識してくれるなら、今は触れるの我慢するよ」

「………今「は」?」

「今「は」」



不穏な強調に
赤い顔で怯える私を、楽しげに笑って見つめて

歩き出すゆう兄



「ほら、行こう
遅刻しちゃうよ」

「…」



早鐘を打つ心臓を押さえながら
いつもより、少し距離をあけて
私はゆう兄の後に続いた