泣きそうになるのを堪えて、ゆう兄を睨み付ける


静かに怒りをぶつける私に


その言葉に


ゆう兄は、ぴくりと反応した




「……いつ、俺が本気じゃないなんて言った?」




さっきよりも更に低い声


掴まれた手首に一層力が入る



もどかしそうな


ほんの少しだけ苛立ったような



初めて聞いたその声に、驚く私



だけど、ゆう兄は


次の瞬間


もっと、驚くような事をしてきた




「…」




目を見張る




「…」




時間にしたら、きっと、ほんの一瞬


だけど、その一瞬が
私には、ものすごく長く感じた



「…」



私から離れたゆう兄は
呆然とする私を、真剣な眼差しで見つめて
落ち着いた声音で言葉を放つ




「全部、本気だけど?」




「むくの事、好きなのも、愛してるのも」




「嘘じゃないんだけど?」