「んー…相川先輩いないなら
ちょうどいいかも」

「なにが?」

「いや、ずっと言いたかったんだけど
言えなかったことあってさ」

「?私に?」



ぽそりと独り言のように呟いた津嶋君

訊ね返せば
津嶋君は柔らかく表情を崩して

そのまま、笑って頷いた



「なに?」

「俺さ、中学の頃からずっと
篠原の事、好きなんだよね」

「…」



まるで、世間話をするように
笑顔でさらりと言われた言葉に

私は、ぽかんと口を開けて黙り込む



「あ、ちなみに恋愛の意味な」



そんな私に
津嶋君は口角を上げたまま
これまた、あっさりと付け足す



「…」



………じ、人生で生まれて初めて告白された…



一瞬、思考が停止したけど
遅れて、戸惑いと気恥ずかしさがやって来て
じわじわと顔に熱が集まってくる


すぐに返す言葉が浮かばなくて
ただ、あわあわとうろたえることしか出来ない


顔を下げては上げ
声を返そうと口を開けては
何も出せずに閉じてを繰り返す


でも


そんな私を見つめて
津嶋君は満足そうな表情を浮かべた



「悪い悪い、困らせる気はなかったんだ
返事も分かってるから、いらないし」

「……で、でも…」

「ちゃんと伝えて、すっきりしたかったんだ」

「…」

「篠原のその表情見れただけで充分」