「お願いして、少し距離を取って貰ってる」

「まじか。よく聞き入れて貰えたな
相川先輩、絶対拒否しそうだけど」

「嫌そうな顔はされた」

「だろうな。中学ん時も凄かったからな」

「あはは…」



その言葉に、私は乾いた笑顔しか返せない



津嶋君とは
中学もクラスもずっと一緒で、長い付き合い

だから、ゆう兄の私への
執着心と言うか、執心っぷりを
実際に、目の当たりにしている



「卒業後も
篠原に会いにわざわざ中学来てたし
学校行事の準備とか、部活動にも
しれっと参加してたりしてたもんな」

「…ゆう兄、ああいう性格だから
みんな、普通に受け入れちゃうし…」

「相川先輩、人気者だからな
悪いことしてるわけじゃねーし
先生達も、最初は渋い顔してても
結局なんだかんだ、見逃してたしな」



どんな場所でも、環境でも

そこにいるのが、どんな人達だろうと

適応力のあるゆう兄は
するりと紛れ込み、そして、馴染んでしまう


卒業したはずなのに
当たり前のように中学校に居座るゆう兄は
「中学4年生の相川悠」として有名で
校内で名を馳せていた