「俺は、むくちゃんだけで充分なんだけどな」

「友達は大事だよ」

「いや、いるけどね?
普通に男友達も女友達も」

「じゃあ、その人達との時間を大事にしなよ」



ひとりの時間が欲しいって言うのも、本心だけど


こっちが思わず心配になってしまうくらい
ゆう兄は私以外に興味が無さすぎるから


周りの人を惹き付ける人柄で
どんな相手とでも
上手く付き合える社交性もあるのに


ゆう兄の人付き合いは
一見、楽しそうに
相手と心を通わせているように見えるけど

実際は、上辺だけで


去るもの追わず、来るもの拒まずのような

その場だけの

そんな、どことなく寂しい人間関係


ゆう兄が
それで構わないって言うなら
口出しする権利なんてないんだけど


でも


多分、ゆう兄が【そう】なのは……





『………ゆうにい……』





……。



頭に浮かんだ懐かしい光景に、ちくりと痛む胸



私は、そっと目を閉じて



それから、また、ゆう兄に視線を向ける