きみの本気は分かりづらい

「……はぁ、とにかく
いいか。悠」



深々とため息をついた後
聖は、俺に言い聞かせるように言葉を向けてきた



「お前は、今まで散々
むくに甘えてきたんだから
これからは、むくの言うことをちゃんと聞け」

「はい」

「無事、恋人になれたんだから
これからは、防衛のために
人前で、むくにべたべたするのは止めろ
あいつが困るから」

「はい」

「自分の欲を満たすために
べたべたすんのもダメだからな
あいつはお前と違って、人目気にすんだから」

「はい」

「なにはともあれ、優先すんのは
むくの気持ちだからな。わかったか?」

「分かりました」



異論は認めないと言わんばかり表情で
鋭い視線と言葉で、厳しく俺を説き伏せる聖


ずっと煮え切らない態度を
取ってしまっていたことも

長年、むくちゃんの優しさに甘えていたのも
事実だから


その迫力に圧(お)されつつも、俺は、素直に頷いた



黙って、やり取りを眺めていた和音が
くすくす笑い出す



「聖は本当に、むくちゃんのファンだね」

「……こいつの性格良く知ってるし
むくが、ずっと苦労してきたのも知ってるからな。これくらいの口出しは、当たり前だろ」

「そうだね。悠が、さっさとむくちゃんに
ちゃんと告白して、恋人になれば
全部、丸く収まることだったのにね」

「本当に…
こんな面倒なやつのどこがいいんだか……」