「いくら拒んでも聞かないからって
好きでもない男に
体に触れさせるの許すやつなんて
そうそういねーっての」
「……だから、それは
むくちゃんが俺を兄みたいに慕っていたから
許してくれてたわけで…」
「兄に見せる表情(かお)じゃねーんだよ」
「だって、むくちゃん
俺の前では、基本『無』だったんだよ?」
「多少は『揺れ』が出てただろうが
それに、あんだけ密着してりゃ
心音で気付くだろ。てか、気付け。鈍感男」
苛立ったように言いながら
俺に冷めた視線を向ける聖
ひどい言い様だと思いつつも
……思い返せば、確かに
表情は、いつも
怒っているか、呆れているか、無だったけど
抱き締めた時に
むくちゃんから伝わる心音は早かった
それに、どことなく
その表情や体には、熱があったようにも思う
「…」
恋は盲目とは良く言ったもの
単純なサインを見逃していた自分に
俺は少し、落ち込んだ
聖の耳に痛い言葉も、受け入れる他ない
「聖。やめなよ
いくら、悠が自分の事には
ぽんこつだからって」
……助け船を出してくれたつもりなんだろうけど
和音の言葉はフォローになってない
ふたりに、俺は苦笑いを返す事しか出来なかった
好きでもない男に
体に触れさせるの許すやつなんて
そうそういねーっての」
「……だから、それは
むくちゃんが俺を兄みたいに慕っていたから
許してくれてたわけで…」
「兄に見せる表情(かお)じゃねーんだよ」
「だって、むくちゃん
俺の前では、基本『無』だったんだよ?」
「多少は『揺れ』が出てただろうが
それに、あんだけ密着してりゃ
心音で気付くだろ。てか、気付け。鈍感男」
苛立ったように言いながら
俺に冷めた視線を向ける聖
ひどい言い様だと思いつつも
……思い返せば、確かに
表情は、いつも
怒っているか、呆れているか、無だったけど
抱き締めた時に
むくちゃんから伝わる心音は早かった
それに、どことなく
その表情や体には、熱があったようにも思う
「…」
恋は盲目とは良く言ったもの
単純なサインを見逃していた自分に
俺は少し、落ち込んだ
聖の耳に痛い言葉も、受け入れる他ない
「聖。やめなよ
いくら、悠が自分の事には
ぽんこつだからって」
……助け船を出してくれたつもりなんだろうけど
和音の言葉はフォローになってない
ふたりに、俺は苦笑いを返す事しか出来なかった


