「……ゆう兄が言ってきたくせに
なんで動揺するの?」

「…………してくれると思わなかったし」

「ゆう兄は
普段もっと、べたべたしてくるくせに」

「むくちゃんから来られるとダメなんだって」

「なんで?」

「……好きな子から攻められると弱いの、俺
あんまり、いじめないでよ」

「普段、意地悪されてるの、私だもん」

「えぇ?意地悪なんてしてないよ
……とにかく、一旦離れようか。むくちゃん」

「やだ」



そそくさと逃げようとするゆう兄の腕を
がっしり掴んで、拒否すれば

ゆう兄は、赤い顔で
「………えぇ…」と、途方にくれたような声を出す



「勘弁してよ…
心臓破裂する」

「知らない」



少しは、私の苦労と羞恥心を知ればいい


小さな頃から
ゆう兄が私にしてきた苦行の数々


いい機会だ
今度はこっちの番

身を持って、分からせてやる


仕返しする気分で
ゆう兄に、ぴったりくっつけば


ゆう兄の体は強張って
ますます顔が赤く染まっていく





「ゆう兄」

「……なに?」

「大好き」

「……」




素直に、かわいらしく
笑顔で愛を伝えてみれば
不意打ちに、耳まで真っ赤になるゆう兄



だけど



困り笑いを浮かべながら
私の背中に手を回し、その胸に引き寄せると


愛しさと幸せでいっぱいの眼差しを私に向け




「俺の方が大好きだから」




優しく愛を返してくれた