きみの本気は分かりづらい

「『俺が』
むくちゃんと一緒にいたかったんだよ」


「自分の意思でむくちゃんのそばにいたのに
まわりが勝手に、『むくちゃんが』
俺を独り占めしてるだとかなんだとか
見当違いなこと言って、むくちゃんを傷つけた」


「……実際、独り占めしてた」


「だから、逆なんだよ
『俺が』むくちゃんを
独り占めしてただけなんだ」



ゆう兄離れが出来ていれば
ちゃんと、ゆう兄以外の人と関われていれば
あんな風になることはなかった


声に後悔をにじませれば
ゆう兄は、それを否定して

自分が悪いんだと
すべての原因は自分なんだと、そう言った



「むくちゃんは火の粉を被っただけ
俺みたいなのに好かれたばっかりに」



無意識なんだろうけど
ゆう兄は時々、自分の事を卑下するような言い方をする


俺なんかに執着されて、かわいそうだと
ゆう兄は、表情で語った



「本当にむくちゃんの事を思うなら
むくちゃんがそうしようとしたように
あの時、俺も距離を置くべきだった」


「俺が近くにいることで、俺が原因で
むくちゃんが傷つくことは、分かってたから」



ゆう兄は
自分の言葉が、行動が、周りに与える影響を
ちゃんと理解していた


他人(ひと)よりも
少し、目立って
注目を集めてしまう自分が


意図せずに
他人を惹き付けてしまう自分が


その選択をすることで
どんな未来が待っているかも


ちゃんと、解ってた