きみの本気は分かりづらい

ゆう兄は私を落ち着かせようと
たくさん、言葉をかけてくれるけど

どうしても、恐怖は拭えず
瞳からは涙が溢れてしまう



「…」



腕の中で
泣き出してしまった私を見て

どうしたものかと
困り顔で思案していたゆう兄だったけど


ふと、思い付いたように、私を呼ぶ



「むくちゃん」



反射的に顔を上げれば
ゆう兄は、私の涙を指先で拭った後


そのまま


ちゅっと、目元にキスを落とした



「…」



……?



突然の出来事に、私はきょとんとしてしまう


何をされたのか
理解するのに時間がかかってしまって


私が固まってる、その間
ゆう兄は反対側の目元にもキスを落とした



…。



それを何回か繰り返した後


私から離れたゆう兄は
目を丸くする私をじっと見つめ
優しく笑いかける



「うん。涙、止まった」

「…」