きみの本気は分かりづらい

だけど、そんなゆう兄を気遣う余裕は
今の私にはない


絶えず響く、断末魔なような声

耳に届く度に、体を震わせ
小さく悲鳴を漏らす私



「…っ」



ゆう兄に首に手を回し
力強くしがみつき、その恐怖に耐える



「……ああ、そういえば、そうだった
むくちゃん、怖いのダメだったね」



放心していたゆう兄は
震える私に、思い至ったように言葉をこぼす



「…」

「よいしょっと」



声を返せずにいると
ゆう兄は、そのまま
怯える私を抱き上げて、ベッドに移動し

その縁に腰掛け

たたんで置いてあった毛布に手を伸ばす



「…」



それを、私の頭に被せて



「大丈夫だよ」



と、落ち着かせるように
ぽんぽんと背中を叩く

ゆう兄が、被せてくれた毛布のおかげで
多少は、耳に入ってくる音が小さくなる

それでも、甲高い悲鳴は耳に届く




「……こわい」

「怖くないよ。俺がいるから」

「………こわいよ…」

「おばけが出ても、ちゃんと守るから」

「…………どうやって?」

「戦うよ」

「……幽霊は、物理攻撃効かない……」

「じゃあ、むくちゃん抱えて逃げるよ」

「…」