だけど、そこで




『きゃー!!』




「!」



窓の外から、響いた悲鳴に驚いて
かくんと階段から足を踏み外してしまう



「わっ…!」



バランスを取ることができず
そのまま、転倒




「っ…」




痛……



ズキリと左足に走った痛みに、顔を歪める



……
……………どうしよう、立てないかも…



足の痛みで、ではなく
情けないことに
さっきの悲鳴で腰が抜けてしまって



「…」



足首を押さえながら、窓の外に視線を向ける


外では今、肝試しをしてるから
さっきの悲鳴は
きっと肝試しの参加者のものだろう


遠目に、うっすら揺れる光が見えた


それも多分
肝試しをしている人の、懐中電灯の光だと思う


でも、暗闇の中に浮かぶ
その光は、まるで火の玉のように見えて…


私は、さぁー…っと青ざめる



薄暗い空間

身動きが取れないこの状況で

視界に映るもの、耳に入る音は
全部、恐怖の対象になる




「……むくちゃん?」




襲いくる恐怖に成す術もなく

かたかたと震え
その場にうずくまっていると

頭上から、聞き慣れた声が降ってきた



うつむいていた顔をあげ
涙で滲む目で、見上げれば



「………ゆう兄…」



階段の一番上で
びっくり顔で、私を見つめるゆう兄がいた