「だから、そんな相川が
一心不乱に愛を捧げる相手って
どんなやつなんだろうって、話してたんだ」

「な?」

「うん。……でも」



名付けに至るまでの
エピソードを語った後
先輩達は、興味深そうに私を眺める



「……むくは
かわいいっちゃ、かわいいけど…」

「優しくて、いい子だけど」

「…うん。『普通』なんだよな
…あ、これ、悪口じゃないから
俺ら、篠原さんのこと、普通に好きだし」



先輩達は言葉を選びながらも
客観的に見た素直な感想をこぼす



「…よく言われます」



少し顔の熱が引いた私は
不思議そうな先輩達に、苦笑いを返す



ゆう兄に溺愛される私を見た人は
今の先輩達みたいに
みんな『なんで、この子が?』みたいな顔をする


私自身も、自分がゆう兄と
つり合いが取れるような人間じゃないのは
分かっているから


その感想に、不快感や嫌悪感は感じない