救急車に乗って、拓海と一緒に病院へ行く。

彼は担架に乗せられたままゼエゼエと苦しそうに息を吐き、顔は血の気が引いて真っ青になっていた。応急処置はしたものの、助かるかはわからない。

「拓海……大丈夫だからな……僕がそばにいるから!」

彼の手を握りしめ、切羽詰まった顔で訴える。拓海はそれに応えるように、うっすらと目を開く。しかし、また瞑ってしまった。

病院について手術室に運ばれていく。僕はただひたすら『手術中』のライトを見ながら、一人ソファに座って手を前で組み祈っていた。孤独で虚しいこの空間にいると、不安とストレスが募っていく。

もし死んでしまったら、僕が殺したようなものだ。罪悪感が凄まじくなる。それに好きな推しが死ぬところを見るなど、絶望的な気持ちになり心を病んでしまいそうだ。

心臓の鼓動が高まり、ただ生きている方にかける。なんとしてでも生きてくれ。頼む!


数時間後。『手術中』のライトが消えた。手術着を着ている医者がやってきて、彼女からオッケーマークが出る。どうやら無事だったらしい。僕はガッツポーズを浮かべた。

「よかった……」

胸を撫でてほっと安心する。

彼女に尋ねたところ、なんとか一命を取り留めたらしい。もう少し遅ければ死んでいたという。運が良かったようだ。さすがアイドルだ。運だけで生きてきたのがわかる。