「それより!俺の財布あった?無いと咲にしばかれる…」

「はい、そこのベンチに置いてあった。
誰にも盗られてなくて良かったな。」

「うわーーさすが悠!見つけてくれてるって信じてた」


ブレザーのポケットから財布を取り出すと
飛びつくように財布を受け取り
ホッと胸を撫で下ろす翔。


「ほんと翔は無くしものが多いよな。気をつけろよ?」


少し意地悪気に言うと「ヘイヘイ」と気の無い返事が返ってくる。

翔と校舎に戻ろうと扉に近づいた時地面に光るものを見つけた。

それは白色にキラキラ輝く小さな花が付いたヘアピンだった。


あの子が付けてたヘアピン…さっき翔とぶつかった時に落ちたのかな


俺はまた会った時に渡そうとそれをそっと拾いポケットに閉まった。