足音が響く階段の踊り場は
窓から差し込む夕日でオレンジ色に染まっている。
そんな階段をため息混じりに上り、
鉄製の重たい扉を開けた瞬間
差し込む太陽の眩しさに思わず目を瞑る。
眩しさに目が慣れた頃
屋上のフェンスの側にポツンと置かれたベンチの上に
黒色の2つ折り財布を見つけた。
チャック部分に彼女とお揃いで買ったと自慢げに見せてくれたクマのキーホルダーが付いている。
紛れもなく翔の財布だ。
こんな所に忘れたなんて咲ちゃんが知ったらとんでもなく怒るだろな。
と苦笑しながらベンチの財布を手にしてブレザーのポケットにしまう。
もと来た道を戻ろうと踵を返した時
_________パシャッ____
誰も居ないと思い込んでいた屋上に機械的な音が響く。
