その日の放課後あの時の丘にまた君がいた。


『見かける度声掛けてたらそのうち話してくれるっしょ』


お昼翔が呑気に言ったこの言葉がふと浮かび気づけば丘を登っていた。

今日の天気は曇り、薄い灰色の雲の合間から夕日が差し込み綺麗な景色が広がっている。

そんな景色を君は撮っていた。


「あの……」


この前写真を見てしまってから会ってなかったから自分でもわかるくらいにぎこちない声で話しかけていた。

そんな声にまたその子の華奢な体がビクッとなり大きなキレイな目がこちらを向く。


「その………この前はごめん！勝手に写真見たりして。」


話しかけたものの何を話して良いかもわからずとりあえずこの前の謝罪をした。

金木犀の木の下に座る女の子は小さく首を振った。

これは許してくれたって事でいいのか？
次、何話そ？

普段人見知りでもなんでもないのになぜか言葉が出てこない。


「隣座っていい？」


話題見つからないからって何言ってんだ俺！？

言ったそばから緊張する俺。そんな緊張を悟られないよう平然を装って前を向くとその子は小さく頷いた。