写真を見返していくとふとディスプレイに中学生くらいだろうか、とても明るく口を開けて笑う女の子とお母さんらしき人が映し出される。
2人はとても幸せそうにくしゃっとした笑顔をカメラに向け、頬を寄せ合っている。
栗色のふわふわとした髪の毛
小さな口に鼻、整った顔の女の子………。
それにそっくりな女の人。
この顔見覚えがある………
そう、今目の前にいるこの子だ……。
「この写真って………。」
と呟いた時目の前のその子は写真の顔とは全く違う
少し怯えたような、焦ったような顔で
俺からカメラを勢いよく取り上げた。
俺はその瞬間罪悪感のような気持ちに包まれたと同時に
こんなにも幸せそうな笑顔ができるのに
今この子が笑顔を見せない理由が気になった。
俺から勢いよくカメラを奪ったその子は
逃げるように走って
丘を降りて行った。
ただ、人見知りなだけ、なのか?
小股で走っていくその子の後ろ姿をただ茫然と見つめながら俺はそんな風に考えていた。
