Escape!!

斉藤が的場のダウンをくるまるように羽織った時だった…―。


ピンポンパンポーン♪

突如、軽やかなチャイムの音が室内に響き渡った。


そう、

学校で、校内放送が始まる前に流れるあの音に似ている。


「な、何!?」


紗英が泣き出しそうな声で辺りをキョロキョロと見ている。

『…―みなさん、こんにちは。』


スピーカーから流れ出した声は、妙に機械的な女性の声だった。

時報や天気予報を電話で聞く時の声に似ている、と奈美は思った。


『皆さんには、楽しいゲームをしていただこうと、お集まり頂きました。』


女の声は、淡々と続ける。

まるで感情が込もっていない。


「ゲームだと!?
ふざけるな!!
何のつもりだ!!」

それまで大人しかった佐伯が立ち上がり、声を荒げた。


『ルールは簡単です。
この建物から脱出する事。
それだけです。』

「人の事をからかっているのか!?
何のつもりだ!!」

佐伯は、見えない相手に顔を真っ赤にして怒鳴り散らしている。