Escape!!

「何なのこの部屋…!?」

OL風の女性がヒステリックに言い立ち上がった。

「帰らせてよ!!
私急いでんの!!」

女は、扉の一つを乱暴に開けようとした。

だが…

「開かない…っ!」
何度ガチャガチャとノブを壊れるくらい回しても、扉は開く気配もしなかった。

「ふざけないでよっ!!何の冗談よっ!?」

女はヒステリックにまくし立て続ける。
こっちが聞きたいくらいだと奈美は思った。


「おい、お前落ち着けよ。」

まくし立て続ける女を止めたのは、バスの中でずっと音楽を聞いていた男だった。

「あんた、誰よ?」
ギロリと男を睨みつけるように女は言った。


「俺は、的場太一。あんたは?」


「何で見ず知らずの奴に私が名前教えなきゃいけないのよっ!」


…警戒心の強い人だ…。

…この状況なら、仕方ないか…。

奈美は、ふぅっ…とため息を吐いた。

すると、的場太一と名乗った男と目があった。


「あ…
私、は…一条奈美…です。」

「俺は、瀬川武彦。」

思わず名前を名乗った奈美につられるように武彦も続けた。
そんな奈美達につられたのか、

「私は桜井紗英。」
「田村要。」

「佐伯光晴。」

「笹川美羽。」

「黒田京一。」


みんなそれぞれ自分の名を告げた。


「私…は、斉藤友姫…よ。」


OL風の女も、みんなが自分の名を名乗った事で、少し警戒心を緩めたのか、名前を名乗った。