この恋、遊びにつき。

「お待たせしました」

悠さんのカップに、コーヒーを注ぐ。



「朋子さんは、明日もバイト?」

「はい。どうかされましたか?」

「また来ようかなと思って」

「私がいなくてもお店はやってますから、大丈夫ですよ」

「あはは。そういう意味じゃないんだけどな」

「私、軽い人嫌いなんです」


一瞬、空気が凍った。
でもいいんだ。こういうことははっきり言った方がいい。
今は他の人と恋愛する労力はないんだし。




「軽く見える?」

「ええ、少し」

「こう見えて結構堅実でまじめなんだけどな」

…この笑い方。
苦笑いのような、私を試すような、独特の笑い方。


結城先生そのものだ。





「さっき今は彼女作らないっていいましたよね?」

「いったよ」

「でもステキな人が現れたら告白するでしょう?例えば、結婚したいくらい魅力的な女性が現れたら」

「今の俺にそんな人いないよ」

「そういっても結局誰かと付き合うんでしょう?一生独身な訳ないんですから」





いつのまにか私は、悠さんではなく結城先生と話しているような錯覚に陥っていた。


先生はあの言葉を言った数ヵ月後に、彼女を作った。
『朋ちゃんのおかげだよ』って笑いながら、報告してきた。
背中を押すつもりなんかなかったのに。
他の人となんか付き合って欲しくなかったのに。

私はいつも、そう。
思った通りにいかない。

どんなにいい人だって褒められたって、
その人の一番になれなきゃ、何の意味もないんだ。
私とその彼女と何が違ったっていうの?
彼女作らないって言ったくせに。



嘘つき。