あなたでよかった


その日の夜、紗雪はソファーに座りながら雪灯を抱っこしていた。

夜はよく眠り、あまり手のかからない雪灯だが、グズってなかなか眠ろうとしなかったのだ。

「もうおっぱいも飲んだし、オムツも替えたのに、どうしたの?」

泣きはしないものの、グズグズする雪灯を゙紗雪はずっとあやしていた。

そんな時、ある事を思い出し、紗雪は自分のスマホを手に取り、画像フォルダを開いた。

そして、灯也が紗雪の膨らむお腹に話し掛けている動画を流してみたのだ。

「赤ちゃーん、パパですよー。」
「パパの声覚えてね〜。」
「動いた!」
「パパとママは、君が生まれてきてくれるのを楽しみに待ってるからね〜。愛してるよ〜。」

動画に映る灯也の姿に涙する紗雪。

すると、グズグズしていた雪灯が灯也の声に反応し、気に入るように大人しくなったのだ。

そして、繰り返し動画を流しているうちに雪灯は眠りについた。

「ちゃんと、お腹の中でパパの声を覚えていたのね。」

そのことにも感動し、紗雪は雪灯を抱きしめ、涙を流し続け、「灯也、、、雪灯、パパの声が落ち着くみたい。」と動画内の灯也に話し掛けたのだった。