紗雪は悲しみのあまり、マタニティフォトの存在をすっかり忘れていた。
正直、紗雪は写真を見るのが怖かった。
灯也の姿を見る勇気がまだ出なかった。
しかし、紗雪は思った。
まだパパの顔を知らない雪灯に見せてあげないと。
あなたがお腹に居る時から、パパはあなたのことを愛していて、会えるのを楽しみにしていたんだよ、と教えてあげないと。
そう思い、紗雪はゆっくりとエアパッキンに包まっている額縁に入った写真を取り出し、そっとエアパッキンを外した。
そしてそこには、まだお腹の中にいる雪灯にキスをする灯也の姿があったのだ。
その写真を見た瞬間、紗雪は写真を抱きしめ声に出して泣いた。
まだ見ぬ我が子に会えるのを楽しみにしていた灯也。
それがこんなことになってしまい、我が子を抱くことが出来ずに逝ってしまうなんて、、、
紗雪は泣きながら、灯也が楽しみ過ぎて早く組み立てたベビーベッドがあるすぐ横の壁に写真を飾ると、雪灯を抱き、写真の目の前に立った。
「雪灯、、、この人があなたのパパよ。あなたが生まれてくるのを凄く楽しみにしていたの。お腹の中にいる時から、あなたのことを愛していたのよ。」
紗雪は涙を流しながら、その写真を見つめた。
紗雪の膨らむお腹にキスをする愛しい灯也は、もう居ない。
灯也、、、会いたい、、、
会いたいよ、、、
そして、紗雪の首には灯也がはめていた結婚指輪がネックレスとして光っていた。



