あなたでよかった


「旦那さん立ち会い希望だったから待ってあげたいけど、このままなら赤ちゃんが苦しくなっちゃうから、神蔵さん、ちょっとイキんでみようか!」

松浦さんにそう言われ、次の陣痛の時にイキんでみた。

すると、「あら!もう産まれそう!」と呟く松浦さん。

そして、そのあとの3回目の陣痛の時にイキむと、松浦さんは「神蔵さん、もうイキまなくていいよ!力抜いて!はい、赤ちゃん産まれるよー!」と言い、額に汗が滲ませた紗雪は顔を上げ、自分の足の間に目をやった。

「あっ、、、!」

そこには、松浦さんに取り上げてもらっている赤ちゃんの姿があり、赤ちゃんはすぐに産声を上げた。

「神蔵さん、おめでとう!元気な男の子だよ!」
「ありがとうございます。」

紗雪は目を潤ませながら、自分の胸の上に乗り、元気よく産声をあげる我が子を撫で「頑張ったね。」と声を掛けた。

もし、灯也が立ち会いに間に合ってたら、きっと号泣していただろうなぁ。
紗雪はそう思いながら、我が子を愛おしく見つめた。

「赤ちゃん一度預かるね。小児科の先生に診てもらって、綺麗に拭いてからまた連れて来るからね!」

そう言い、連れて行かれた我が子。

紗雪の方は産後の処理が行われ、しばらく息を整えていた。

すると、LDRの中の電話が鳴り、松浦さんが出た。

小さな声で話をしていて何の話しかは分からないが、何やら不穏な空気を漂わせていた。

どうしたんだろう、、、

そう思っていると、何やら医師や看護士たちが慌ただしくなり、LDRを出入りしていた。