「赤ちゃーん、パパですよー。」
今日もいつものように膨らんだ紗雪のお腹に手を当て、お腹に向けて話し掛ける灯也。
そんな灯也の姿を紗雪はスマホのカメラで撮影していた。
「パパの声覚えてね〜。」
すると、灯也の声に応えるようにお腹が波打ち、灯也は「動いた!」と喜ぶ。
「パパとママは、君が生まれてきてくれるのを楽しみに待ってるからね〜。愛してるよ〜。」
そう赤ちゃんに話し掛ける灯也を動画におさめる紗雪は微笑み、幸せで心が満たされていた。
そんなある日、灯也からある提案があった。
「ねぇ、紗雪。マタニティフォト撮らない?」
「マタニティフォト?」
「うん、まだ赤ちゃんがお腹にいる内に紗雪のその姿を写真に収めておきたいし、それに赤ちゃんが生まれて大きくなってから"この時からパパとママは君を愛していたんだよ"って見せてあげられるでしょ?」
灯也の提案に紗雪は賛成すると、妊娠8ヵ月のギリギリの時期にマタニティフォトを撮る事にしたのだった。
まさか灯也から"マタニティフォト"の提案をしてくると思わなかった紗雪は、それほど我が子の誕生を楽しみにしてくれているんだなぁと実感した。



