「あ、二本!」
紗雪がそう言うと、灯也は「え!これは陽性ってことだよな?!妊娠してるってこと?!」と興奮気味に言った。
紗雪が灯也に向かって頷くと、灯也は紗雪が持つ妊娠検査薬を手に取り、じっと見つめると涙を流し、「紗雪、ありがとう。」と紗雪を抱きしめた。
「灯也、泣いてるの?」
「だって、、、紗雪と俺に家族が増えるんだよ?大切な存在が増えるんだよ?」
紗雪はこの時、灯也の涙を初めて見た。
こんなにも妊娠を喜んでくれると思っていなかった紗雪は、灯也にもらい泣きをし、二人は何度も妊娠検査薬を見返しては顔を見合わせ嬉し涙を流したのだった。
そして次の週に紗雪は婦人科を受診した。
妊娠は確定し、その時には既に小さな心拍も確認出来、紗雪は自分のお腹の中に小さな命が宿ったことに神秘的な気持ちになった。
幸いなことにつわりは無かったが、ただ身体は疲れやすく少し眠気が増したくらいだった。
妊娠が分かってからもパートを続けることにした紗雪だったが、勤務時間は5時間から4時間に減らしてもらい、日数も週5から週3にしてもらい、蔦野店長はとても身体を心配してくれた。
紗雪が品出しをしようとすると、「あー!神蔵さん!そんな高いところの物取っちゃダメよ!わたしを呼びなさい!」と言ったり、「あー!それ重たいでしょ!わたしが持つから!」など、紗雪のことを気遣ってくれ、紗雪はとてもその心遣いに感謝しながら、自分が出来る範囲で頑張って仕事を続けた。



