それから紗雪は、徐々に灯也への敬語も減っていき、"灯也さん"から"灯也"と呼べるようになった。
あれから隼也も姿を現すことがなく、ひっそりと暮らしたい二人は挙式を挙げる事もなく、生活は平穏で幸せそのものだった。
そして、入籍してから半年が経つ、秋から冬へ季節が移行する時期のことだった。
「ねぇ、灯也。」
お風呂から上がってきた紗雪が、灯也にドライヤーで髪を乾かしてもらい終わったタイミングで言った。
「ん?」
「あのね、実はね、、、」
「え、どうしたの?何かあった?」
何やらいつも違う紗雪の口ぶりに灯也は不安になる。
「わたし、、、生理が遅れてるの。」
「えっ?どのくらい?」
「2週間くらい。」
最初、それを聞いた灯也は紗雪の身体の心配をしたが、しかし、ふと思った。
「それって、、、もしかして、、、」
灯也がそう言うと、紗雪は立ち上がり、自分のバッグから小さな紙袋を取り出して来ると、中からピンクと白の長い箱を取り出した。
「念の為、買って来てみた。」
紗雪がそう言い取り出したのは、妊娠検査薬だった。



