そして、紗雪の定時の14時近くになると、一人の男性が入店して来た。
丁度品出しをしていた紗雪がふと店の入口を見ると、そこには紗雪に向かって小さく手を振る灯也の姿があった。
それを見てすかさずやって来た店長の蔦野。
「あれが月柴さんの彼氏かい?」
「はい。」
「めちゃくちゃイケメンじゃない!俳優さんとかで居そうなくらい!」
紗雪が照れ笑いを浮かべると、店長の蔦野は「ほら、あとはあたしがやるから、もう帰りなさい!」と言った。
「でも、まだ5分時間が。」
「5分なんてあって無いようなもんよ!ほら、早くエプロン外して、帰る支度して彼氏さんのとこ行きなさい!」
「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて、お先に失礼します。」
「うんうん!甘えなさい、甘えなさい!」
紗雪は店長の蔦野の心遣いに感謝し、少しだけ早く仕事を上がらせてもらうと、バックルームで帰る支度をして、灯也の元へ駆け寄って行った。
「お待たせしました。」
「お疲れ様!」
「店長さんが、少し早く上がらせてくれて。」
「店長さんって、どの人?」
「今、そこで品出ししてる人です。」
紗雪がそう言うと、灯也は店長の蔦野に近付いて行き、「店長さんですか?」と声を掛けた。
店長の蔦野は灯也の声に顔を上げると、灯也のあまりの容姿端麗な姿に少しドキッとしてしまった。
「紗雪がいつもお世話になっております。」
「あら、やだ。こちらこそ、月柴さんは仕事が出来る人だから、とっても助かってるのよ!近くで見ると、更に良い男ね!」
そんな会話をしながら、店長の蔦野は「ほら、買い物しといで!安くしてあげるから、あたしのレジに来るんだよ!」と言い、二人を店内を見て歩くよう促す。
灯也と紗雪は、店長の蔦野の人柄と太っ腹具合に感謝し、カートにカゴを乗せ、店内を見て回ったのだった。



