ベランダで夜空を見上げながらそんな会話をしていた二人。
すると、紗雪が自分の左手首を出した。
「わたし、このホクロを見ると、灯也さんがそばに居てくれている気がして、元気になれるんです。」
そう言って、自分の左手首にあるホクロを見つめる紗雪。
そんな紗雪を見て、灯也は自分の右手首を出した。
「俺たち、出会う運命だったのかもな。お互いを探す目印。」
灯也はそう言ったあと、「あれ、俺、何かキザなこと言ってる。」と言い、照れ笑いを浮かべた。
紗雪はそれに笑うと、「でも、本当にそうだったら嬉しいです。わたし、灯也さんと一緒に居られて幸せなので。」と言い、二人はお互いホクロがある方の腕を並べてくっつけ、顔を見合わせると微笑み合ったのだった。
そして、次の日から二人の生活ルーティンは変わった。
灯也は朝8時から出勤をし、定時は18時なのだが、大体は残業になり帰宅は20時になることが多かった。
一方、紗雪はというと、9時出勤の為、8時半には家を出て、14時まで仕事をすると、ほぼ残業はなく、そのままスーパーで買い物をして帰宅をする。
そんなある日、いつもより早めに帰宅してきた灯也が紗雪に「はい、プレゼント。」とある箱を差し出した。
「えっ?これって。」
「スマホ。持ってなかったでしょ?今日ちょっと早退させてもらって買って来た。紗雪と連絡が取れなかったら困るからと思ってさ。」
家政婦だった時に持たせてもらえていなかったスマホ。
紗雪は「ありがとうございます!」とスマホが入っている箱を抱きしめて喜んだ。



