「わたし、月とか星空とか、夕日とか空を眺めるのが好きなんです。ツライ時は、いつも空を眺めていました。」
紗雪は月を眺めたまま、そう言った。
「俺も空を眺めるの好きだよ。たまにこうして、二人で空を眺めようか。今度からはツライから空を眺めるんじゃなくて、純粋に綺麗な空を見て癒されよう?俺が紗雪にツライ思いをさせないように頑張るから。」
灯也の言葉に紗雪は心を打たれ、灯也の方を振り向いた。
灯也は微笑みながら、「俺、紗雪を幸せにしたいんだ。」と言い、「明日から仕事頑張るわ!」と拳を出し、ヘヘッと笑って見せた。
そんな灯也の優しさに紗雪は「ありがとうございます。」と涙を流し、灯也は「泣くなよぉ。」と紗雪の頭を撫でたのだった。
その日の夜、ラブホテルぶりに同じベッドで眠る灯也と紗雪。
二人は並んで布団に入り眠ろうとすると、紗雪が「灯也さん。」と灯也を呼んだ。
「ん?」
「あのぉ、、、手を、繋いでもいいですか?」
思いがけない紗雪の言葉に驚いた灯也だったが、灯也は「いいよ。」と言うと、自分から紗雪の手を取り、手を握り締めた。
「ありがとうございます。」
「じゃあ、紗雪、おやすみ。」
「おやすみなさい、灯也さん。」
二人は手を繋ぎながら、目を閉じた。
最初は紗雪と手を繋ぎ、ドキドキして眠れないかもしれないと思った灯也だったが、不思議と心が落ち着き、いつの間にか眠りに落ちていたのだった。



