「迷惑だった?邪魔したんじゃないよね?」
とんでもない。本当に助かった。
「大変だよね。俺には関係ないことだけど」
私も関係ないと思ってた。
30歳とか跡継ぎとか気にしたことはない。
好きな人が現れれば結婚したいと思うだろうし、その人との子供も欲しくなると思う。
でも無理ならしょうがない。
自分ひとりで出来るもんじゃないから。
30歳だからと言うことは関係ない。
匠君も30歳くらいで結婚したけど別れてるし、今は仕事も好きだし続けたい。
でもこの先どうなるか分からない。

「多岐川先生はどうして結婚されないんですか?」
「どうしてだろうね」
寂しそうに笑う顔を見て、それ以上何も言えなくなってしまった。

あれから駿輔とは避けられているのか中々会わないし、『30歳の呪い』は私には通用しないようだ。
でも友達は確かに減ってきてるし少しは寂しくなってきた。