いつも自信満々の多岐川先生が一生懸命言ってくれてる。
駿輔に感じなかったどきどきが、今感じてる。
歳なんか関係ない。
この先、多岐川先生と一緒に生きていきたい。
「はい、喜んで」
先生が吹き出した。
「ここは居酒屋か!」

交際0日、結婚を決めてしまった。

「部屋、変更する?」
顔をのぞき込んで聞いてきた。
「大丈夫です、このままで」
「残念!」
ポケットからコンビニおにぎりを出して、「腹減ったら食っとけ」って、いつもの先生だ。
ほんとに一杯だけ飲んで各々部屋に戻った。

「帰ったら、環の家に挨拶に行くから」って言ってくれた。
『環ちゃん』から『環』に呼び方が代わったのが新鮮で嬉しい。
学会に来て良かった。

次の日、自宅まで送ってくれた。
「挨拶は改めてきちんとするから」
そう言って、自宅前でおでこにキスされた。