代わり映えのない年月。
気が付けばいつの間にか、環ちゃんが研修医が終わって、医師としてこの病院にやって来る歳になっていた。
当然、俺も匠先生もおじさんになっていた。

いつも彼女のそばに同期の佐伯駿輔がいた。
俺の勘ではヤツは環ちゃんが気になっているはず。
ただ環ちゃんには通じてないし、見ていて飽きない。
うだうだしてると誰かに持っていかれるぞ。
自分のことは棚に上げて、見守っていた。

呑気に観察していたらヤツが動き出した。
なに?話しがある?

環ちゃんもそんな年頃か。
昼休み、屋上で昼寝をしていたら二人の声が聞こえた。
聞くつもりはなかったけれど聞こえてくる。
寝たふりを続けようと思ったけど、合意じゃないなら話が違う。
思わず二人の中に入ってしまった。
「無理矢理は良くないよ」って。