出会いはただの偶然だった。
その日は中学校の入学式で入り口から校庭まで新入生とその親で溢れていた。
「うわ、すごい人…。」
受付を済ませ、教室に入れるまで思いの外時間が時間ができてしまった。
しばらく新入生が集まってる所で待っていたが人の気配で気持ち悪くなったから、そこから抜け出したくて人の少ない方に足を向けた。
なんとなくで向かったそこは校舎裏のようだった。
よかった、ここなら…と思ったら先客がそこにはいた。
まだこちらには気付いていないのか、満開の桜をじっと見つめていた。
同じ新入生か…?と思ったが、後ろ姿では判断できなかった。
思わず立ち止まったままでいると、その子がふとこちらを振り返った。
「…!」
「あ…」
どうやら向こうも俺に気付いていなかったようだった。
綺麗な蒼が少し驚いたように瞬きをして、その子は小さく会釈をしてくれた。
こちらも小さく会釈を返したら、突風が吹いて思わず目を閉じた。
「っ…、あれ、」
目を開けたらそこには桜の花びらがひらひら舞っている景色だけだった。
一体あの子はどこへ行ったのかなんて考えてたら、チャイムが響いた。
「やべっ…!」
慌てて校庭の方に戻り、新入生の集まっている場所まで向かった。
教室に入り自分の席に座って先生が来るのを待っていたら、他の生徒たちが少しざわついた。
なんだ?と思ってプリントを読むのをやめて辺りを見回したらみんな後ろの方を見ていた。
「…?」
何かあるのかと不思議に思いそちらに目を向けると、そこにはあの子がいた。
「……。」
その子は自分が注目されていることに気づき、少し顔を強張らせていた。
しかしすぐ気にしていないような顔になり、前の黒板へ席を確認しに行った。
クラスの人たちは珍しいものを見たような反応をしていた。
それもそうなるだろう、その子は海のような蒼い目と銀色の髪をしていたから。
周りと同じようにその後ろ姿を見ていたら、くるっと振り返りこちらの方に歩いてきた。
「え、……。」
それに呼応するように周りも声を零していた。
そんなクラスメイトの声になんの反応も示さず、彼女は俺の真横の席に座り荷物を置いた。
近くで見ると月を溶かしたような銀糸の髪だった。
さっき見た時は桜色の髪だと思ってたけど、木の下に居たからそう見えただけだったんだな…。
「…あの、何か?」
「へっ?」
「いや、ずっとこっち見てるから…」
「あっ、ごめん!珍しかったからつい…嫌だったよな…」
やばこれ俺ただのキモイやつじゃん!何してんだ俺!
「それは別にいいけど…。ねぇ、もしかしてさっき校舎裏の方に来てた…?」
しかもさっき見てたのもバレてるし、俺完全にヤバいやつ確定じゃん…。
「あ、うん…俺です…。」
「やっぱり。よかった、人違いじゃなくて。」
そう言って彼女は小さく微笑んだ。
「えと、わざとじゃなかったんだけど、ごめん。覗き見したみたいになってたよな…。」
「ううん、大丈夫。わざとじゃないのは知ってるから。」
「よかった…。あ、俺鈴咲 朔、えと…。」
「私は鍵倉 美月、好きに呼んでいいよ。よろしくね、鈴咲くん。」
「おう、よろしくな!」
その後、ちょっとしたら担任の先生が来て入学式の流れを説明された。
先生の話を聞いた覚えはあるけど、記憶に焼き付いているのは先生の姿じゃなく、隣に座っている美月だった。
無意識に隣に視線を向けていた意味にまだ俺は気が付かなかった。
その日は中学校の入学式で入り口から校庭まで新入生とその親で溢れていた。
「うわ、すごい人…。」
受付を済ませ、教室に入れるまで思いの外時間が時間ができてしまった。
しばらく新入生が集まってる所で待っていたが人の気配で気持ち悪くなったから、そこから抜け出したくて人の少ない方に足を向けた。
なんとなくで向かったそこは校舎裏のようだった。
よかった、ここなら…と思ったら先客がそこにはいた。
まだこちらには気付いていないのか、満開の桜をじっと見つめていた。
同じ新入生か…?と思ったが、後ろ姿では判断できなかった。
思わず立ち止まったままでいると、その子がふとこちらを振り返った。
「…!」
「あ…」
どうやら向こうも俺に気付いていなかったようだった。
綺麗な蒼が少し驚いたように瞬きをして、その子は小さく会釈をしてくれた。
こちらも小さく会釈を返したら、突風が吹いて思わず目を閉じた。
「っ…、あれ、」
目を開けたらそこには桜の花びらがひらひら舞っている景色だけだった。
一体あの子はどこへ行ったのかなんて考えてたら、チャイムが響いた。
「やべっ…!」
慌てて校庭の方に戻り、新入生の集まっている場所まで向かった。
教室に入り自分の席に座って先生が来るのを待っていたら、他の生徒たちが少しざわついた。
なんだ?と思ってプリントを読むのをやめて辺りを見回したらみんな後ろの方を見ていた。
「…?」
何かあるのかと不思議に思いそちらに目を向けると、そこにはあの子がいた。
「……。」
その子は自分が注目されていることに気づき、少し顔を強張らせていた。
しかしすぐ気にしていないような顔になり、前の黒板へ席を確認しに行った。
クラスの人たちは珍しいものを見たような反応をしていた。
それもそうなるだろう、その子は海のような蒼い目と銀色の髪をしていたから。
周りと同じようにその後ろ姿を見ていたら、くるっと振り返りこちらの方に歩いてきた。
「え、……。」
それに呼応するように周りも声を零していた。
そんなクラスメイトの声になんの反応も示さず、彼女は俺の真横の席に座り荷物を置いた。
近くで見ると月を溶かしたような銀糸の髪だった。
さっき見た時は桜色の髪だと思ってたけど、木の下に居たからそう見えただけだったんだな…。
「…あの、何か?」
「へっ?」
「いや、ずっとこっち見てるから…」
「あっ、ごめん!珍しかったからつい…嫌だったよな…」
やばこれ俺ただのキモイやつじゃん!何してんだ俺!
「それは別にいいけど…。ねぇ、もしかしてさっき校舎裏の方に来てた…?」
しかもさっき見てたのもバレてるし、俺完全にヤバいやつ確定じゃん…。
「あ、うん…俺です…。」
「やっぱり。よかった、人違いじゃなくて。」
そう言って彼女は小さく微笑んだ。
「えと、わざとじゃなかったんだけど、ごめん。覗き見したみたいになってたよな…。」
「ううん、大丈夫。わざとじゃないのは知ってるから。」
「よかった…。あ、俺鈴咲 朔、えと…。」
「私は鍵倉 美月、好きに呼んでいいよ。よろしくね、鈴咲くん。」
「おう、よろしくな!」
その後、ちょっとしたら担任の先生が来て入学式の流れを説明された。
先生の話を聞いた覚えはあるけど、記憶に焼き付いているのは先生の姿じゃなく、隣に座っている美月だった。
無意識に隣に視線を向けていた意味にまだ俺は気が付かなかった。
