記事屋 -article club-

「人生を、ぶっ壊す………?」


 朝美は思わず聞き返した。


「そ。」


 和也は再び煙草に火をつけた。


「ま、あんたみたいな真面目なヤツは、俺らの対極の人間だ。

 普通に暮らしてりゃ一生関わることなんてないから安心しろ。」


 そう言って和也はのん気にあくびをした。

 一瞬、冷たい空気が2人を取り巻いたが、和也のあくびによって見事に消え去った。

 しかし、朝美の胸の中はもやもやした感情が渦巻いていた。


「あなた方は一体………?」














「朝美ー!!お待たせー!!」


 朝美の問いかけは、裕美の軽快なかけ声によってかき消された。

 階段の上にはいつもの裕美と、相変わらず笑顔の大和の姿があった。


「ごめんねー、遅くなって。」


「う、うん…。」


 和也の横を駆け降りてくる裕美を、朝美は笑顔で迎えることはできなかった。


「では、裕美様。

 必ず一週間以内にご期待に添うよう、手はずを整えておきます。」


 大和は軽く頭を下げた。

 横には未だ煙草を加えて眠そうな顔の和也が居る。


「じゃ、お願いしまーす!」


 裕美は大和に手を振って、もと来た道を歩き出した。

 朝美は眠そうな和也と笑顔の大和をいちべつすると、彼らを背に朝美は裕美の後を追いかけた。

 いつの間にか手のひらににじんだ汗を、朝美は小走りになりながら、確かに感じとっていた。